■歯周病とは?
 
   歯周病は、歯と歯ぐきの間に炎症が起こり、歯ぐきや、歯を支えている歯槽骨(歯ぐきの骨)が徐々に冒されていく病気です。
  歯周病になると、最初は歯ぐきから出血があり、歯ぐきが少しはれてきます。そして、しだいに歯ぐきのはれがひどくなり、膿がたまって痛みを生じます。さらに悪化すると、歯槽骨が溶けだして歯がグラグラと動くようになり、最後には歯が抜けてしまうのです。
  歯周病は、従来、歯周病菌という細菌が原因で起こるといわれていました。この歯周病菌が、体の抵抗力が衰えたりすると異常繁殖し、歯ぐきや歯槽骨に炎症を起こすということです。
  ところが、歯周病の原因が歯周病菌であるということを証明する標本や確かな資料は、これまで全くなかったのが実情です。
  このような歯周病治療の常識をくつがえしたのが、河北歯科医院院長の河北正先生でした。河北先生は、歯周病は歯周病菌ではなく、カビ(真菌類)の一種のカンジタ菌で起こることを提唱され、カンジタ菌を除菌する抗カビ剤による治療法を開発しました。
  カンジタ菌は、人間の体内では口の中や消化器官(食道・胃・腸)、女性の膣の粘膜、皮膚などに住み着いている常在菌です。カンジタ菌は、口の中で歯ぐきの粘膜に取り付くと、粘膜組織を分解して歯ぐきの血行を悪化させます。そして、体の抵抗力が衰えてカンジタ菌が繁殖して増えてしまうと、歯ぐきの組織の破壊が進んで、しまいには歯槽骨まで冒すようになるのです。
  河北先生によると、従来、歯周病菌の塊だと信じられていた歯垢も、実はカンジタ菌の塊で、歯周病の人はカンジタ菌が口の中に大量に繁殖しているとのこと。そして、本当の歯周病菌が異常繁殖している人はごく少量だと、わかったということでした。
  カンジタ菌は粘着力が非常に強く、ほかの口内細菌とは比べものにならないほど丈夫です。そのため、いくら歯磨きをしても、カンジタ菌を完全に除くことはできません。唯一の退治方が、抗カビ剤を使うことなのです。
歯の構造と歯周病の原因
歯周病はカンジタ菌が異常に繁殖することで起こり、歯周病菌も混合感染すると著しく悪化する。
 
■歯周病の画期的新療法
 
 
歯垢を調べてから歯石を取り除く
   歯周病の新療法は、初診ではまず、患者さんの歯周病がどんな状態にあるのかをくわしく知るために、問診を十分に行います。具体的には、
1、毎日の歯磨きはどのように行っているのか
2、これまでどのような歯周病の治療を行ってきたのか
3、全身の体調はどんな状態か
4、歯周病以外に病気はないか
5、家族に歯周病の人はいないか

などについて聞きます。
  次に、患者さんの歯垢(食べ物のかすやカンジタ菌、細菌の塊)を取って、特殊な顕微鏡でカンジタ菌と歯周病菌の状態を調べます。その結果を受けて、抗カビ剤の使い方を決めるのです。
  そして、抗カビ剤による歯磨き(もしくは抗生物質の内服との併用)を自宅で行ってから約1週間後に、口の中のカンジタ菌や歯周病菌の減り具合を特殊な顕微鏡で確認します。そのうえで、歯石取りを行います。歯石取りを完全に終了するまでには1〜2ヶ月ほどかかりますが、この間は抗カビ剤で歯磨きをしていると、歯がしみなくなるため、歯石を取るときにも痛みなどを感じなくてすむからです。
抗カビ剤で1日3回歯を磨く
 
 抗カビ剤による歯磨きは、朝・昼・晩の食後に1日3回行うのが基本です。やり方は次のとおりです。
1、 ふつうの歯磨きをするときに使うものとは別の歯ブラシを用意して、抗カビ剤を備え付けのスポイトで1滴(0.1ミリリットル)たらす。
2、 歯ブラシにたらした抗カビ剤が歯と歯ぐきの境目に入り込むように歯ブラシを当てて、上アゴか下アゴのどちらかの歯からゆっくりと磨く。磨く時間は、歯の表側で1分間、裏側で1分間の計2分間が目安。
3、 片方のアゴの歯を磨き終えたら、口の中に水を少し含んで、約10秒ゆすいでから吐き出す。
4、 歯ブラシをよく洗ったら、再び抗カビ剤を1滴たらして、もう片方のアゴの歯も同じようにして磨く。
5、 磨き終えたら、口の中に水を少し含んで約10ゆすいでから吐き出す。
6、 仕上げに、歯磨き剤を何もつけない歯ブラシで上アゴと下アゴの歯の歯磨きを1分間行う。
  歯ブラシは軟らかいものを使うようにして、歯ぐきはゴシゴシと強くこすらないようにしてください。
  また、抗カビ剤をスポイトで歯ブラシにたらす際は、カンジタ菌がスポイトに侵入するのを防ぐため、歯ブラシにスポイトの先端がふれないようにすることが大切です。使用後の歯ブラシは、よく洗って、風通しのよいところで乾燥させておきます。
  抗カビ剤による歯磨きは、症状が改善されたら、朝と晩の1日2回に減らす場合もあります。抗カビ剤による歯磨きを行っている治療期間中は、普通の歯磨き剤による歯磨きは行わないでください。
  抗生物質は、基本的に1日2錠ずつ3日間内服します。抗生物質は3日間飲むだけで十分に効果があります。なお、抗カビ剤による歯磨きは、副作用はほとんどありません。抗生物質も副作用の心配はほとんどありませんが、胃や腸の弱い人はまれに下痢などを起こすこともあるので、事前に相談してください。
免疫力を衰えさせる喫煙や偏食などは禁物
   新療法を行うと、まず翌日には口の中のネバネバ感がなくなってすっきりします。次に、歯ぐきからの出血やはれ・膿が数日でなくなり、口臭も消えます。そして、歯のぐらつきも、早ければ2〜3週間で治まり、歯ぐきは健康的なピンク色に改善してきます。
  こうして、歯ぐきのポケット(歯周病によってできた菌と歯ぐきのすき間)も正常に近くなり、1ヶ月後にはほとんどの人が健康な歯ぐきを取り戻すことができるのです(ただし、歯を支える骨がほとんど溶けている人は、歯のぐらつきが完全に治るということはない)。
  なお、治療によってカンジタ菌や歯周病菌を十分に退治できていることが確認され、歯石も完全に取り除いたら、抗カビ剤による歯磨きはやめます。その後は、2〜3ヶ月に1回という頻度で診察を行い、歯周病が再発していないかどうかを調べます。
  そして、もしカンジタ菌が再び繁殖しだしたら、抗カビ剤による歯磨きを再度行います。大半の人は、ふつうに歯磨きをしていれば再発することはないようです。中には、抗カビ剤をやめるのが不安だと訴える人もいますが、カンジタ菌を退治できれば、薬を使い続ける必要はありません。
  ただし、カンジタ菌は誰の口の中にも住み着いている常在菌なので、体の抵抗力が弱ったりすれば、いつでも歯周病が再発する恐れがあるといることを覚えておいてください。特に、喫煙や偏食・夜更かしなどは、免疫力を衰えさせる原因となるので注意が必要です。
  また、歯周病菌は、子供なら母親が口移しで食べ物を与えたりした場合に、大人ならキスによって感染します。
  そこで、夫婦や恋人同士で歯周病の治療を受けること、歯の検診を定期的に受けることが、非常に大切です。
 
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